哲学

哲学専攻田中ゼミの卒論発表会をのぞいてきた。

アクティブ君というあだなの、むかしソフトボール部で一緒に飲んだりした男の子がデリダを語っていた。語ろうとしていたと言った方が良いかもしれない。
テーマが非常に大きなものだったためか、それとも彼が悩みの渦に巻き込まれてしまったためか、一言「惨憺たるものだった」という感想しか出てこない。
一緒にのぞきに行ったやはり哲学専攻の友人が質問をしていたが、なんだかその質問に対する答えもちぐはぐで、まるで友人の質問を理解していない回答だった。

その後タイトル論という、芸術作品とタイトルの関係についてマルセル・デュシャンを例に挙げて書いていた人の発表があり、若手芸人風のしゃべりと卒論の主題そのものの面白さによって会議室内の人たちの心をぐっとつかんでいたように思う。
アクティブ君の前に発表した学生もちょっと小難しい内容だったらしく、ここらでちょっとゆるくいきましょう、といったような態度がとてもよかった。
彼の卒論の内容もまた興味深かった。
先日大丸ミュージアムパウル・クレー展へ行ったのだが、そこで彼の芸術に対する考えに触れ、色々と考えさせられていたところだったというのもあるだろう。

デュシャン曰く20世紀以降の絵画や美術作品は、作品そのものに描かれたテクストを読み解くものではなく単に視覚的に刺激を与えるものが主流であるということだった。
そして彼はそのスタイルを網膜的と呼び、自分の作品がそういったスタイルに落ちてゆくのを拒否するために、レディメイドと呼ばれる作品群を発表し、更にタイトルをつける行為を行ったという。

発表がとても面白く、卒論そのものにも興味を持った。
美術史をちゃんと勉強したいなと思った。

その後研究室でちょっとオリンピックの話などをして百合まんがを読み、ウェーバー読書会が始まったのでそそくさと帰宅した。今日はクラスでKKKのビデオを見たり、色々刺激された日だった。やはり、学校にはちゃんと行こう。