ペイゲルスの「アダムとエバと蛇」その2

グノーシス主義の続き

グノーシス主義者たちのみにあらず、同時代のキリスト教徒たちは結婚(セックス)すべきか否か、という問題によって分裂していた。

ペイゲルスはグノーシス主義キリスト教徒の中でも、主流派、急進派、ウァレンティーノス派の3つの派のそれぞれの聖書解釈の違いを挙げている。
主流派の理解は先に述べた、アダムとエバを魂と霊という一個人の内的な側面の相互作用にたとえた解釈である。
急進派のグノーシス主義者は、蛇が神的知恵の教師であると説いた。
名前は残されていないが、『真理の証言』という書物を記した人物は、禁欲主義者として、結婚と生殖を認め、それら不浄なものを創造した神を礼拝している正統派キリスト教徒や他のグノーシス主義者たちを批判した。蛇の視点にたって創造物語を解釈し、蛇はアダムとエバが創造主の卑しむべき真性の姿に目を向けるようにと説得した存在として描いた。(160)
創世記の話をさかさまにひっくり返し、結婚も日常の仕事もやりこなしている他のキリスト教徒たちに対し無知であるとかおろかであるという批判を述べた。もはやこれはキリスト教ではなく単なる禁欲主義であった。

ウァレンティーノス派については寝ておきてから書きます。